パイプとバカでかい飴

メシアたちの人生観

たくましい女。

毎日毎日学校に行き、友達としゃべって、ピアノを弾いて寝る。たまに声楽の子と伴奏合わせをして、情報通な彼女の話を聞く。一年生のころから彼女の伴奏をしているけれど、彼女が伴奏に対して色んな音楽的指摘をしてくれるとき、彼女はとても成長しているんだな、あたしは成長しているのだろうか、と思うことがある。日々ピアノを弾いていて、あたしはほんとに音大のピアノ専攻生を自称できるくらいには弾けるようになったのだろうかと思うことがあるけど、ピアノの試験を落としたことがないから人から聞かれたら自称するくらいはしていいのだろうなと思っている。ずっとクソみたいな寮で暮らしていると、自分はたくましくなったと思うことはある。食堂にはコバエが飛んでいることがあって、今日は朝食の野菜炒めにコバエが特攻してきた。一年生のころはコバエが特攻したおかずには二度と手をつけなかったけれど、今のあたしはもう驚くことすらせず冷静に紙ナプキンでコバエを取って、何事もなかったかのようにそのおかずを食べるのだ。そしてこの経験によって、定食屋でご飯を食べているとき、小さなゴキブリが皿の近くを歩いていても気にしなくなった。そこに、かつての乙女はいない。母のように虫に臆すことのない、たくましい女がいるのだ。